デコですこんにちは。
めったにテレビ番組を見ない(見られない)僕ですが、ちょうど帰宅するころの、深夜1時過ぎのNHKはなかなかおもしろいことになっているのですね。先日たまたま見たのが「プロフェッショナル 仕事の流儀」という番組の再放送。様々な分野の第一戦で活躍しているプロフェッショナルたちの「仕事」と「生きざま」を追いかけている番組(だそうな)。
今週のその再放送で「生きざま」をさらしていたのは、フェラーリー(http://www.pininfarina.it/eng/gallery/gallery_scheda.php?gal=82&marca_gall=3&anno_gall=dal%202000%20al%202005&argomento_gall=100&cerca_gall=&risultato_ricerca=1)や、マンボさんが乗っているプジョーなどのカーデザインを手がける、イタリアの名門デザインスタジオ、「ピニンファリーナ社」(http://www.pininfarina.it/eng/e_index.html)に籍を置いている奥山清行氏。氏は、日本でデザイン学校を卒業後に単身渡米。アメリカのカーデザインを専門に学ぶ学校を卒業した後、GM(ゼネラルモーターズ)、ポルシェのカーデザイナーを経て、世界中のメーカーからデザインのオーダーが殺到するこの「ピニンファリーナ」で、デザイン部門のトップであるデザインディレクターとしてバリバリ。
そのバリバリぶりは画面を通してもバリバリ伝わってきて、しばし釘付け。そんな奥山氏のディレクターとしてのポリシーはといえば、
「衝突が本物を生む」
奥山氏が束ねる「ピニンファリーナ」のデザイン部の若いカーデザイナーたちは、世界各国から集まったデザイン学校を主席で卒業してくるようなエリートばかり。彼らは個性とプライドという牙を持つ、まさに「猛獣」たち。たとえ上司といえどもすぐに牙をむく。しまいには仲間同士でもすぐに喧嘩をはじめるという。そんな猛獣をマネージメントする奥山氏は、みずからを「猛獣使い」と称する。
常日頃、猛獣たちに囲まれている奥山氏。その猛獣の「扱い方」は、氏自らが異様に鋭い牙をむき、部下を“バリバリ”ではなかろうか。
奥山氏は、一つのデザイン案件を社内コンペとして必ず複数のデザイナーに競わせ、その中、採用するのはただ一人のひとつのデザイン案だけ。氏は何度も社内プレゼンをくりかえし、その都度、部下たちが徹夜で仕上げてきたデザイン画(アイディア)の欠点を容赦なく指摘する。
「おまえの絵はかっこだけを追求したクサレデザインだ。おまえの自己満足など誰も見たくもないわ!ぼけー!」
てな感じでメタクソボロクソ。若いデザイナーも言われているばかりではなく
「おれがプロフェッショナルではないと言うのか!こらー!」
みたいな感じで目をギラギラさせて応戦。それはそれは刺激的な制作現場。
奥山氏はこのような「衝突」をくりかえすことこそ、新しいデザインを生むと信じて疑わない。部下たちのプライドを強く刺激し、挑発しない限り、クライアントにプレゼンするたったひとつの「ベストデザイン」を生みだすことは絶対にできないし、部下のデザイナーとしての成長もありえないと、きっぱり。
つまり「衝突」こそ「本物のデザイン」を生み「本物のデザイナー」を生むということを体現している。
そんな奥山氏だが、GM時代にまったく逆のマネージメント手法(チームは仲良く和気あいあい)をとり、結果として満足のゆくデザインは次第にあがらなくなり、多くの部下をリストラに追い込んでしまった経験がある。これがいまに至っても強く響いているとのこと。ゆえにこの「衝突」は、マネージメント「手法」というより、揺るぎようがない「信念」の世界。
また、奥山氏はバカみたいに自ら「描く」。なにを?「ラフスケッチ」を。もう「スケッチバカ」。
オフタイムのカフェで紙ナプキンに。移動中の電車で新聞上に。とにかく描き続けていなければ、すぐにデザインは鈍り、猛獣達に負けてしまうという。常に愛用のサインペン(ペン先が変わってしまうから、誰にも触らせないらしい)を持ち歩き、未だに鍛錬を怠らない。
また、良いデザインを生み出すために必要なものは何かとの問いに、奥山氏は才能や技術ではなく
「どたんばで踏ん張りがきく“体力”」
とこれもきっぱり。僕も画面を見ながら思わず深くうなずいてしまったのだけど、ほんとうにその通りだと思う。僕の小さな経験だけど、アホみたいに徹夜を続けてプレゼン前日、最後のツメができるかできないか、それはもう体力以外のなにものでもなく、体力が残っていなければ物理的に不可能。実は最後の最後に体力がものをいう僕らの世界。うーん。マンダム。
そして、この番組の中で奥山氏はさまざまな印象に残る言葉を残してくれているのだけど、(すでにうる覚えなので正確な言葉ではなく、ニュアンスを受け取ってもらいたいので、その点ご容赦ください)
人が生きていくのに必ずしも欠かせないものとは言えない「デザインする」ことに、どうしてそこまで真剣に取り組むことができるのか?との問いに、
「本来、必要ではないものだからこそ、真剣に美しさを追求しデザインするのだ。でなければ、そのデザインされたものを人が手にとってくれることは絶対にない」と、これまたきっぱり。
番組の最後にプロフェッショナルとは? とのキャスターの問いに答える奥山氏は
「今日のためではなく、明日のために仕事ができる人。自分のためではなく、人のために仕事ができる人。だから明日の人のために仕事ができる人だ」とまっすぐに答える。
なんともひさしぶりにTV番組を見て単純に感激もしたし、ディレクターとして、マネージメントのスタンスやデザインそのものへの多くのエッセンスを、奥山氏の実に歯切れのよい多くの言葉からもらえて、ちょいと仕事でヘトヘトだったけれども、なんだか得してしまった気分。
なによりも奥山氏のぶっとい信念に貫かれた“生きざま”がバリバリ伝わってくる、その強烈な「眼差し」(http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/060706/index.html)に男惚れな、ある日の深夜2時でした。
深夜も生きざま更新中! 山口デコ
▼NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」
http://www.nhk.or.jp/professional/
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