訪れた事がない場所を訪れ、
食べた事がない物を食べて、
参った事がない神社仏閣に参ろうと思い立ち、
帰省も兼ねて青春18きっぷで西に向かう事にした。
8/9(水)
とりあえず始発で東京を出発して、
まずは三重県の伊勢神宮に向かった。
神宮に参ったついでに伊勢うどんなる物を食べようと、
店に入るとじじいが水戸黄門を見ていた。
鐘を鳴らして面倒臭そうに嫁を呼ぶじじい。
電車に乗り遅れそうだったのでイライラしていたが、
嫁が急いでくれたおかげでなんとか間に合った。
美味しいとは思えなかったが、
まずい物にこそ旅の醍醐味を感じる。
その後久しぶりに元バイト仲間のHさんに会い、
相変わらず昔のように卑猥な話で盛り上がった。
実家の巨大なコーギーを見せてもらって、
食事をして別れてから大阪方面に向かった。
しかし上野市という駅で電車が終わってしまい、
仕方なくタクシーで近場の漫画喫茶に向かったのだが、
2時閉店のため宿代わりにもならず、
少しでも目的地に近づくため歩く事にした。
二時間程歩いて伊賀上野駅に辿り着いた。
あと一時間程で始発だったので、
腕立て伏せをしながら時間を潰した。
8/10(木)
伊賀上野駅から始発に乗り、
次は広島県の尾道に向かう事にした。
サンフランシスコ、イスタンブールのような、
坂道がある景観には旅情を抱かずにはいられない。
行こう行こうと思っていたにも関わらず、
今回が初めての尾道来訪だった。
せっかくだったので少し贅沢をして、
この日は宿を取る事にした。
しかし宿を取ると急に激しい睡魔に襲われた。
前日始発で出発して徹夜で歩き回ったのだから当然だろう。
しかし宿の主は仮眠を取ろうとする私をなぜかせかす。
「いや時間がもったないですよここはねえまず浄土寺から回ってねえ石段を登ると息が切れるんですよでもそこに茶屋があってねここはカップルにもお勧めですはいそして更に登ると大きな草蛙があってですねそこで写真を撮ってください写真を撮ってくださいよ…坂道はきついけど観光客の若い方にはぜひ…港まで自転車で行く人も…夜景がとてもきれいで…
あまりにしつこいので仕方なくその言葉に従う事にした。
よほど尾道が好きなのだろう。
しかし話が長過ぎる。
取り敢えず話を終わらせない事には動きようがないので、
私は「お勧めのラーメン屋はありませんか」と切り出した。
すると主はよくぞ聞いてくれましたとばかりに、
ニタ〜っと笑って更にすごい勢いで喋り始めた。
「基本的にねまず尾道ラーメンというものは…昔は…さんという方が初めて…今は全然だめですよ!…ぜひ食べてください…あそこの店には行かないでください…そうそうこの雑誌にも載っているんですが…
長過ぎる。
もう気を遣うのはやめる事にして、
じゃあ僕もう行きますわと言って、
話の途中にも関わらず席を立った。
初めからそうしていればよかったのだ。
眠くて仕方がなかったが宿には帰りたくなかったので、
仕方なく急いで名所を回る事にした。
寺巡りコースというのがあったので、
参道に沿って歩く事にしたのだが、
最初の寺で出鼻をくじかれてしまった。
お堂の扉が開いていたので勝手に入ってしまい、
寺の住職にひどく怒られてしまったのだ。
その寺は十一面観音を祀っているらしく、
思いもよらぬ仏との出会いに私は大興奮、
立入禁止の文字に気付かなかったみたいだ。
「あんたそこで何してんだ!ここはね!有料なんだよ!
これは営業妨害だよ!一体どこから入って来たんだ!」
なぜ広島なのに標準語だったのかはわからないが、
坊主の白内障で濁った目だけが鮮明に脳裏に焼き付いている。
しかし営業妨害って言い方はないだろう。
もしかしたらただの案内係だったのかもしれないが、
いい大人になって他人に怒られると消えてしまいたくなる。
それでも負けずに私は寺巡りを続けた。
尾道の坂道は驚きと感動でいっぱいだった。
夜はお好み焼きとラーメンを食べて一人で飲みに行った。
よく考えるとずっと寝ていなかったので、
つぶれないよう気をつけながら飲んで、
10時頃には宿に帰って寝た。
自分の中では尾道はもう十分堪能した。
明日は始発で下関に向かおうと思った。
8/11(金)
宿の主の電話で目が覚めた。
「もう11時なんですがチェックアウトは10時なんですがもう一時間も過ぎてますが…始発で出るとおっしゃっていたのにおかしいなとは思っていたんですよ下関に行かれるんでしたっけ?あそこはね何と言ってもフグ!フグを食べてください!私もたまにね…」
なっが〜
「はいすいませんすぐ出ます」と言って電話を切って、
急いで腕立て伏せをして荷物をまとめて逃げるように宿を出た。
そして電車に乗って山口県の下関へ。
本州の最西端の港町である。
この日のうちに福岡に行く必要があったから、
そんなに長居はできなかった。
もちろん寝坊のせいだが。
私は駅弁駅蕎麦でフグを楽しんだ。
関門海峡を電車で渡って九州へ。
目指すは福岡県鞍手郡。
今シーズンも柴犬天国(友人宅)に参拝するためである。
この日は博多を観光して博多に泊まった。
明日はいよいよ柴犬達との再会だ。
8/12(土)
午前中にキャナルシティに行って、
友人のご実家に向かった。
家に着く前にも二匹の柴犬の洗礼を受けた。
そしていよいよあの四匹達との再会。
門の向こうから聞こえてくる鳴き声に胸は高まる。
相変わらず美しいさっちゃん。
こんな人がいたら結婚したい。
しばらくみないうちにきれいになったぽんぽん。
以前は私に怯えていたけど今回は少し覚えているようだ。
換毛の途中なのかもはや柴犬やら何やらわからなくなったさよ。
未のようにも申のようにも見える。
そして家長のりきくん。
すっかり毛も生え換わって匂い立つような男ぶりである。
でも心は子供。
着いて早々私は犬達がいる縁側で熟睡してしまった。
夜は犬の匂いを肴にビールを飲んで腕立て伏せをして寝た。
8/13(日)
目が覚めるとまたしても昼前だった。
旅先でこのサイクルはもったいない。
時間を有意義に使わんと!
しかしゆっくり朝食をいただいてゆっくり用意をした。
あの家は時間がゆっくり流れているようだ。
昼過ぎになってやっと、
以前から気になっていた南蔵院に向かった。
何でも世界一の大きさの涅槃仏があるらしい。
なるほど確かに大きい。
しかし作られて十年程しか経っていないらしく、
やや重厚さに欠けるものがあった感は否めない。
自分がじじいになったらまた来ようと思った。
その後博多に出てネパール料理を食べた。
チベット仏教の曼荼羅が多数飾ってあったが、
どれもそれほど上手だとは思わなかった。
現地の人が描いているらしいが。
早く帰京して曼荼羅を描きたくなった。
この日も柴犬天国泊。
8/14(月)
もう帰りたくない!この家に住みたい!
そう思えるぐらい居心地が良かったが、
さすがにお盆まで厄介になるわけにはいかない。
自分の祖先の墓に参るためにも、
やっと実家の香川に向かう事にした。
昼過ぎに赤間駅を出て香川県の坂出に着いたのは深夜。
友人のOさん(変人)を呼び出してうどんを食べに行った。
その日は明日に備えて帰宅して寝た。
8/15(火)
目が覚めるとまた昼過ぎだった。
じじいばばあに顔を見せに行って、
一緒に中華料理を食べに行って、
その足で墓に参った。
墓参りをする信心深い犬がいた。
夜は久しぶりに幼馴染み達と飲んで、
ナンパスポットに行く事になったのだが詳細はまた後日。
8/16(水)
そのまま寝ずに家に帰って、
腕立て伏せをして荷物をまとめて島根県の出雲大社に向かった。
行くために調べるまで知らなかったのだが、
出雲大社は縁結びの神様らしい。
母親も結婚前に参ったそうだが、
その結果の結婚があのざまなら、
出雲大社の御利益もたかが知れているというものである。
到着するともう夕方だったので急いで参拝した。
できる事なら今日中に鳥取に行きたかったからだ。
出雲大社を護る臆病者の犬がいた。
全体的に女性の参拝客が多かったが、
中には男一人で汗だくで必死にお祈りしている、
いかにも結婚できなさそうな人もいておもしろかった。
私もそうだって言うんでしょ?
違いますよ。私は必死に祈っていませんから。
男一人で汗だくというところまでは一緒ですがね。
傍から見れば一緒なんでしょうがね。
その後なんとか遅くなる前に鳥取県の境港に着く事ができた。
急いで素泊まり3900円の宿を取って明日に備えて寝た。
8/17(木)
また目が覚めると昼。
なんでこの旅ではずっとこうなんだろう。
女将に見つからないよう急いで風呂に入って、
荷物をまとめて腕立て伏せをして宿を出た。
嗚呼、念願の境港!妖怪の聖地!
言わずと知れた水木しげる御大の生まれ故郷である。
駅前には妖怪のブロンズ像が配されている、
水木ロードなる通りがある事を御存知の方も多いかと思う。
目指すはネットで知り合った狐さんのお店もののけ本舗。
急な連絡にも関わらず快く迎えてくれた狐さん。
私が少し挙動不審だったんじゃないかと心配だ。
せっかく知り合えた妖怪仲間なので、
今度はもっとゆっくり滞在して色々話したいと思った。
近いうちにポストカードを送らせていただきます!
その後水木しげる記念館などの名所を回って、
今日のうちに次の目的地に向かう事にした。
もうそろそろ東京に帰らないと犬達が心配だ。
妹一人で世話をするのにも限界がある。
次は大阪か兵庫県の城崎温泉かで迷っていたが、
大阪には今までに何回も行った事があったので、
結局城崎温泉に滞在する事にした。
山陰地方を回って城崎に着いたのは九時過ぎだった。
それまで何件も宿に電話をしていたのだが、
結局一軒も予約は取れなかったので、
現地についてから直接交渉しようと思っていた。
乗り換えの待ち時間は18分。
その間に宿を取る事ができなければ、
次の街の豊岡で一夜を過ごそうと思っていた。
18分で走り回る私。
5〜6軒回って結局どこも泊めてはくれなかった。
志賀直哉の『城崎にて』を読んで以来、
一度は滞在してみたいと思っていたのに残念だ。
急いで駅に戻ってぎりぎり終電に滑り込み豊岡に向かった。
しかし車窓から見る豊岡市街には何もなく、
電車が行く着く終点まで乗り続けて、
その街に賭けてみようかと思い立った。
結局私は京都の福知山で下車する事となった。
しかし福知山も何もない。
地元の坂出といい勝負だ。
取り敢えず目についたビジネスホテルに向かった。
「部屋空いてますか」
「空いてますよ」
「おいくらですか」
「7900円です」
「じゃあお願いします」
…!?
高い!予算オーバーや!
ということで、お金をおろしてきますと言って逃げた。
7900円払うぐらいなら一晩飲み明かそうと思って、
取り敢えず目についた居酒屋に入った。
その店は一時閉店だったので、
店主お勧めのスナックを紹介してもらった。
そこでは醜態を曝す事無くお酒を楽しむことができたし、
色々考えさせられることがあった。
詳細はまた後日。
8/18(金)
そのまま寝ずに始発で東京に向かった。
電車の中で徐々に酒が回ってきて、
午前中はずっと泥酔状態だった。
夕方には関東に差し掛かり、
横浜経由のJR線で帰るか、
小田原経由の小田急線で帰るか、
私はかなり迷っていた。
しかし電車の座席の向いにかわいい子が座っていて、
その子が小田原で降りたのでつられて降りてしまった。
しばらく尾行したが、
視力が悪い私は彼女を見失ってしまった。
仕方ないからこのまま小田急線で帰る事にした。
しかし小田急線は事故で止まっていた!
バチが当たった!
結局帰宅したのは夜になってからだった。
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