今でもたまに見る悪夢(中)
2006年09月29日 9:22
→(上)の続き
そしてそんな私にも転機が訪れた。
22歳の時、四ヶ月間空手を休んで留学する事にしたのだ。
空手とは別に人生経験を積むのも悪くないと思っていたのと、
私の空手はアメリカ人に通用するか?
というアホな思いも密かに抱いていた。
向こうではボクシングを習おうと思っていた。
今から思うとそんな留学生は滅多にいない。
動機がある意味においては不純である。
バカ大学の、金さえ払えば誰でも行けるバカ留学だったが、
せっかくなので英語も喋れるようになれればと思い、
事前に必死で勉強もしてはいたのだが。
留学先は私が日本で通っていた大学の提携校で、
コロラド州デンバーの片田舎にあった。
標高が高いため酸素が薄く、
隣町のボルダーには高橋尚子も練習に来るぐらいの、
有酸素トレーニングには適した土地だった。
私は毎日学校の周りを走っていた。
酒を飲んでも欠かすことなく。
生活が落ち着くとデンバーのダウンタウンで、
あるボクシングジムを見つけて通い始めた。
しかし全然トレーナーには相手にしてもらえなかった。
私がやらされたのは階段の上り下りと縄跳びだけだった。
いかにもそのジムの期待の星っぽい黒人がいたが、
そいつを「ヘイ!黒ブタ野郎!俺とファイトしないかい?」
と挑発する程の勇気はさすがに湧いて来なかった。
もし戦っていても間違いなく負けていたと思うが。
そしてジムからはどんどん足が遠のいていった。
その後スノーボードで頭を強打して救急車で運ばれて以来、
毎日のトレーニングもさぼりがちになっていった。
次第に酒ばかり飲むようになっていた。
こうして格闘技術の面では何の収穫もないまま私は帰国する事になった。
(下)に続く→


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