下北沢で一人飲み
2006年10月15日 1:23
昨夜はあてもなく下北沢を徘徊していたが、
暗くなってきて特にやる事もなかったので、
ちょっと一杯飲んで行こうと思って、
以前醜態を曝してしまった立ち飲み屋 に、
勇気を出して入ってみた。
店主は私の顔を一瞥して、
「お客さんは…どこで会った人だっけ?」
と言ってきたので、
「以前泥酔状態で御迷惑をおかけしたように思うんですが」
と答えたところ、
「はいはい、あの時の!」
と、意外にも温かい反応で迎えてくれた。
以前来た時にもいた常連のおっちゃんと意気投合、
武士道、仏道、ロックの話で盛り上がる。
年長者との会話はすごくおもしろい。
するとおっちゃん、
「ところで君は仕事は何してるの?」
と訊いてきたので、
「僕は妖怪…あ、いや、絵を描いてます」
と答えた。
「へ〜おもしろいね〜」
と、その時は軽く流されたように思った。
しかし更に杯を進めるうちに二人とも盛り上がってきて、
「携帯の画像で小さいんですが、僕が描いたもの見ます?」
と言ってなんとなく作品を見せたところ、
「おお!いいじゃない!」
と言われた。
もちろん悪い気はしない。
そして話は意外な方向へ。
「実は僕も35年間イラストレーターやってるんだよ」
「そうだったんですか!?」
「いやあ、君の絵いいよ。苦しいのが伝わってくるよ。
良くないと面倒臭いから自分が絵描いてるって言わないんだよ。
じゃあ今度画廊の人に紹介するからさあ、
もっと大きくプリントアウトした物を持ってきてよ。
しろうちゃん(店主)に渡しておいてくれればいいから」
酔った上でのおいしい話というのは危険だが、
少なくとも店には絵を貼らせてもらえる事にはなった。
酔っぱらいの賞賛の言葉を真に受け過ぎず、
これからも理解者を捜して行こうと思う。
そしてここから新たな客と絡む事に。
その客の口から極真という言葉が出たので話しかけてみると、
私と同じ極真空手の経験者だった。
「どれくらいやってたんですか?」
と訊かれたので、
「ちゃんとやってたのは三年ぐらいで、
帯は茶色、指導も少しやってました」
と答えると、
「…へ〜すごいじゃないですか。
ちょっと腕相撲してみませんか?」
と返してきた。
明らかに疑っとる。
見た感じ未熟児虚弱体質の酔っぱらいを。
こんなやつが極真空手経験者であるわけがないと。
相手は見たところ年の頃二十代前半の肉体労働者風。
腕相撲をしても勝ち目がない事は分かりきっていた。
私はそもそもいくら鍛えても腕相撲が弱いのだ。
しかも腕相撲を挑んでくる相手に勝った事など一度もない。
そういう人は腕力に自信がある人が多いから。
私は酔っていながらも冷静に、
「僕腕相撲弱いんですよ。現役の頃も蹴り技主体でしたし。
実際戦わないと空手をお見せする事はできませんからねえ」
とうまく逃れたつもりが、
「じゃあちょっと表出ますか」
という流れになってしまった。
排尿をすませてやる気満々の彼。
酔っぱらって足元もおぼつかない私。
「おいおいあいつ大丈夫かよ」
という声が聞こえてきた。
やるしかない。
昔を思い出せ。
今でも毎日しつこく鍛えとるやないか。
落ち着いて対処すればさばけるはず。
そう自分に言い聞かせて応じたところ…
体 が す い す い 動 く !
相手の攻撃はほとんど見えるし、
自分の攻撃は相手に当たる直前で止めてあげる余裕もある。
しばらくやっているうちに相手も、
「いや、さすがっすね。僕の負けっす」
と言ってきた。
なかなか潔い青年じゃないですか。
かっこよく立ち去ろうと思った私は、
すばやく会計をすませて、
「また来ます」
と言って駅に向かった。
なんか今日は酔っても調子ええぞ!
ええ事ばっかりやぞ!
と調子に乗っていたのも束の間、
ア バ ラ が 痛 い !
一発いいのをもらっていたみたいだ。
経験上これは肋骨にヒビが入っている。
完治まで二週間前後といったところ。
…あの加減を知らん野郎め!
次会ったらなあ、封印しとった必殺技、
寸勁(すんけい)を喰らわせてやるからな!
ところでみなさん、
私が何歳か御存知でしたっけ?
この十二月で二十七歳になります。
これからもずっと子供でいたいです。







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